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2015年の活動

「口腔ケアから人間復活へ- 時代の要請としての多職種連携の展開!!」

[日程]   平成27年11月14日土曜日
[講演時間] 午後6時から 午後8時30分まで
[講演会場] 「広島エソール2階」県歯科医師会館となり
[講師]   米山 武義 先生

講演内容

「口腔ケアから人間復活へ」
 時代の要請としての多職種連携の展開!!    
急激な高齢化がすすむわが国において、この変化に対応できない方々、とくに健康を害し、看護や介護を受けている方にとって日々の生活、将来の人生設計についての不安は計り知れないものがあります。最近の報告によりますと、これらの方々の口腔環境は非常に厳しく、深刻な問題を抱えているといわれております。そしてこの口腔環境に起因する歯周病等の感染症が全身に深刻な影響を与えていることが医学論文により明らかになっています。つまり、虚弱な方にとって口腔の感染症は生死を分ける一大事といっても過言ではありません。しかしながらこのことの重要性がまだまだ医療、介護の専門職はもとより、一般国民には十分知られていません。
昔から「口は健康(病気)の入り口、魂の出口」と言われますが、特別養護老人ホームにおけるいくつかの臨床研究を行う中から、要介護者における誤嚥性肺炎の発症と口腔衛生との間に注目すべき関係があることをつかみ、口腔ケア(歯周基本治療)によって40%前後の誤嚥性肺炎予防効果が期待できることが分かりました。そして1999年,日本老年医学会雑誌に「老人性肺炎の病態と治療」という論文が掲載され,新しい老人性肺炎予防の戦略の中に口腔ケアの重要性が示されました。さらに2002年の米国老年医学会誌に「Oral Health is Cost-Effective to Maintain but Costly to Ignore」という論文が掲載され、口腔ケアが、経済効率の上からもQOL維持のためにも医学的効果が高いという専門医の考えが伝えられました。最近では周術期での口腔ケアの重要性ががん専門病院の医師、看護師の間で認識されるようになりました。
まさに口腔は生きる意欲を引き出す場所です。我々の願いは、口腔を通して高齢者の命を守り、納得のいく人生をお手伝いすることです。
今回の講演では,「口腔ケアから人間復活へ」というテーマであらためて口腔ケアの重要性と展望についてお話したいと思います。また多職種連携の重要性についても、お話したいと思います。

講師略歴

米山 武義先生

昭和54年     日本歯科大学歯学部卒業
昭和54年     同大学助手(歯周病学教室)
昭和56~58年  スウェーデン王立イエテボリ大学歯学部留学 
平成 2年     米山歯科クリニック開業
平成 6年     日本歯周病学会 専門医
平成 6年~    広島大学非常勤講師
平成 8~10年  静岡県歯科医師会 公衆衛生部員
平成 9年     歯学博士
平成10年~    日本老年歯科医学会 理事
平成15年     日本歯科大学、昭和大学非常勤講師         
平成16年     医学博士
          東京医科歯科大学非常勤講師
平成17年     浜松医科大学非常勤講師
平成20年     日本老年歯科医学会 指導医、認定医
平成23年     日本歯科大学臨床教授
平成24年     日本老年歯科医学会 専門医
          松本歯科大学非常勤講師
平成26年     広島大学・九州歯科大学非常勤講師
平成27年     静岡県歯科医師会
         「在宅歯科医療連携室運営委員会」委員
平成27年     北海道大学歯学部非常勤講師

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「口腔粘膜は歯科の領域―身に付けよう口腔がんを疑う目―」

[日程]   平成27年9月12日土曜日
[講演時間] 午後6時から 午後8時30分まで
[講演会場] 「広島エソール2階」県歯科医師会館となり
[講師]   東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 柴原 孝彦 教授

講演内容

「口腔粘膜は歯科の領域 ―身に付けよう口腔がんを疑う目」
口腔がんは、昨年改訂された「がん対策推進基本法」では「希少がん」の一つとして挙げられています。わが国の五大がん(胃、大腸、肺、肝、乳)と比較すれば、罹患率は胃癌の1/10で、全がんの11番目となります。しかし、口腔という特殊性から、罹患率の低い「希少」と言っても侮れない理由が3つあります。先ずは罹患率の増加。世界的傾向でもあるように口腔がんは増加し、若年化しています。わが国では30年前と比べ約3倍の増加、併せて死亡者数の増加が報告されていますが、その対策が示されていません。この現象は先進諸国では唯一日本だけのもので「口腔がん後進国」となっています。2つ目として低い治癒率。5年生存率は全国平均で約60%、これは全がんの5年生存率の中で20番目という悪い結果です。理由として、病理組織学的難治性ではなく、臨床的に発見が遅く進行した状態で専門機関に受診することが多いためと考えられています。3つ目として低い認知度。口腔に「がん」ができることを知らない国民が多く、医療側でもめったに遭遇しない特殊なものと考え疎んじている点が挙げられます。口腔がんの殆どは前癌病変、前癌状態という粘膜疾患を経由してがん化します。口腔を一単位として管理して、怪しい口腔粘膜に気付く目を持っていただければ早期発見は可能です。前癌病変、前癌状態、または初期癌の状態で発見されれば、治癒率は95%以上。入院期間も短く、患者への身体的、経済的負担も軽減します。一方、進行癌では広範囲な切除とともに移植等の再建術が必要となり、リンパ節転移があれば頸部郭清術も必須です。手術学は進歩したと言っても口腔機能の低下、審美的障害が残り、患者への負担は大きくなります。口腔がんは開業歯科医院の先生方が見つけることができ、予防(患者教育)ができる疾患です。なぜ早期発見ができないのか?口腔を担当する歯科医師は何をすべきか?今回は口腔がんと口腔粘膜疾患に苦しむすべての人々のために、これらの疑問に素直に向き合ってみようと思います。聞いて知ってプラスになる講演会です。

講師略歴

 

現職名

東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 主任教授 柴 原 孝 彦 先生

学 歴

昭和54年 3月 東京歯科大学卒業
昭和54年 4月 東京歯科大学口腔外科学第一講座入局特別研究生
昭和55年 4月 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔外科学専攻)入学
昭和59年 6月 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔外科学専攻)修了
昭和59年11月 歯学博士の学位受領(東京歯科大学口腔外科学)
昭和59年12月 東京歯科大学口腔外科学第一講座 助手   (平成 元年 7月まで)
昭和61年 7月 国立東京第二病院歯科口腔外科に出向    (昭和63年12月まで) 
平成 元年 8月 東京歯科大学口腔外科学第一講座 講師   
平成 5年 6月 学命によりドイツハノーバー医科大学に留学 (平成 6年 9月まで)
平成12年 6月 東京歯科大学口腔外科学第一講座  助教授 (平成16年 7月まで) 
平成16年 8月 東京歯科大学口腔外科学第一講座 主任教授 (平成17年 3月まで) 
平成17年 4月 東京歯科大学口腔外科学講座 主任教授        現在に至る
平成22年 6月 東京歯科大学千葉病院 副院長            現在に至る
平成24年 9月 東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長(平成25年 5月まで) 
    

所属学会および役職

東京歯科大学学会会員、日本口腔外科学会会員、日本口腔科学会会員、日本頭頸部腫瘍学会会員、日本口腔腫瘍学会会員、日本癌学会会員、日本癌治療学会会員、日本感染症学会会員、International Association of Oral and Maxillofacial Surgeons、Asian Association of Oral and Maxillofacial Surgeons、American Association of Oral and Maxillofacial Surgeonsなど。日本口腔外科学会専門医・指導医、日本顎顔面インプラント学会指導医、日本老年歯科医学会老年歯科専門医、日本有病者歯科医療学会指導医、日本癌治療学会評議員、重粒子線治療頭頚部班員、日本がん治療機構暫定教育医。日本口腔外科学会常任理事、日本口腔科学会理事、日本口腔腫瘍学会常任理事、日本有病者歯科医療学会理事、日本小児口腔外科学会理事、日本口腔顎顔面外傷学会理事。

著 書

口腔顎顔面外科学, 医歯薬出版, 東京, 2000. 標準口腔外科学, 医学書院, 東京, 2004.
カラーアトラス コンサイス口腔外科学, 学建書院、東京、2007.口腔がん検診 どうするの、どう診るの,クインテッセンス出版株式会社、東京、2007.衛生士のための看護学大意 医歯薬出版株式会社、2012.イラストでみる口腔外科手術, クインテッセンス出版株式会社.かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3, 医歯薬出版、2013. など

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「食べること 生きること ~最期まで口から食べる街づくり~」

[日程]   平成27年5月23日土曜日
[講演時間] 午後6時から 午後8時30分まで
[講演会場] 「広島エソール2階」県歯科医師会館となり
[懇親会場] 場所を選定中です。午後8時40分より
[講師]   五島 朋幸 医院長

講演内容

「食べること 生きること ~最期まで口から食べる街づくり~」
胃ろう大国日本。現代日本社会には40万人もの胃ろう造設者がいると言われている。これは日本の医療水準の高さを表すとともに「口から食べること」を粗末にしていることをも表す。このような社会でわれわれ歯科にできることはないのだろうか。口腔ケアを正しく理解し、食支援を実践していくことこそがわれわれの使命である。
東京都新宿区で平成21年7月「最期まで口から食べられる街、新宿」をモットーに新宿食支援研究会(新食研)を設立した。われわれが考える食支援とは、「本人、家族に口から食べたいという希望がある、もしくは身体的に栄養ケアの必要がある人に対し、適切な栄養管理、経口摂取の維持、食を楽しんでもらうことを目的としてリスクマネジメントの視点を持ち、適切な支援を行うこと」。
新食研が目指す活動は、地域に向けて一方向の情報発信を強化することではない。地域という単位で意識改革をし、医療職、介護職などという垣根も越え、一般市民参加で「何らかの食や栄養の異常を見つける人」、「適切な支援者につなぐ人」、そして「結果を出す人(支援者)」を地域で無限に作りだすことである。われわれの活動のすべてが「見つける」「つなぐ」「結果を出す」にあるといっても過言ではない。
この活動を進めていくに当たり、当初から次の3つの活動目標を掲げた。①介護職、特にホームヘルパーの食に対する意識向上、②食支援にかかわる多職種間でのネットワーク作りと、③食支援の地域での実践。この3つの活動目標に対し、多くのワーキンググループが設置されそれぞれ活動している。
たしかに最期まで口から食べられる楽しみ、満足感を与えることが我々の重要な使命である。しかし、専門職のネットワークをいくら強固にしたところで、介護現場が、いや、社会が食の大切さに気付かなければこの活動に意味はない。「口から食べる」ことの意味を社会に問うことこそ真の食支援と考えている。

講師略歴

 
歯科医師、博士(歯学)。
日本歯科大学歯学部卒。
平成9年より訪問歯科診療に取り組み始める。
平成15年よりふれあい歯科ごとう代表。日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科臨床准教授、東京医科歯科大学非常勤講師、慶応義塾大学非常勤講師、新宿食支援研究会代表。
著書に「愛は自転車に乗って 歯医者とスルメと情熱と」(大隅書店)、「口腔ケア○と×」(中央法規)、「食べること生きること ~介護予防と口腔ケア~」(北隆館)(監修・著)、「誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアと腸管免疫の重要性」(オーラルケア)他

推薦の言葉 五島朋幸先生とは

五島朋幸先生は、在宅医療や在宅介護と言われている現在、歯科診療はもちろん〝食べることを支える〟ことを常に考えながら、寝たきりになって食べることのできなくなった方や、十分かめなくて栄養不足になった方の入れ歯を修正し、独自の工夫による摂食嚥下訓練を行い、食べる喜びと生きる力を与え続けておられます。熱き思いをもって訪問診療を行っておられる先生です。
TVの出演(ザ・ドキュメンタリー、NHK生活ほっとモーニング・おはよう日本等)も多数あり、現在ラジオ番組もされていらっしゃいます。摂食・嚥下リハビリテーション学会でもシンポジストとして、また全国各地でご講演されている「在宅の第一人者」でいらっしゃいます。
なかなか拝聴することの出来ない五島先生の熱いお話をぜひ聴きにいらして下さい。

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「患者満足度を目指した総義歯の基本と勘所:技を持って、技に拘らず」

[日程]   平成27年3月7日土曜日
[講演時間] 午後7時から 午後9時まで
       ※今回は7時開始ですのでお間違いのないようにお願い致します

[講演会場] 「広島エソール2階」県歯科医師会館となり
[懇親会場] 場所を選定中です。午後9時10分より
[講師]   日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学講座 河相安彦教授

講演内容

「患者満足度を目指した総義歯の基本と勘所:技を持って、技に拘らず」

義歯によって患者満足を得ることこそが患者との信頼関係を良好にするばかりではなく医院経営にも影響します。私は、患者満足度が、義歯成功の最重要項目と位置づけ、臨床と研究を重ねてきました。そして患者満足度得るために既成概念にとらわれない様々なアプローチとの関連を検討しています。
具体的に:アルジネート印象で製作した義歯は満足を得られるか?
咬合様式と満足度の関連は?などです。
これらには、教科書的には「形(かた)」があり、それに沿って臨床が進められることが学生や研修医には求められます。補綴の専門医はその「形」に沿わないことが「邪道」と呼ばれたりします。
補綴、特に総義歯の極意は先人の非エビデンスの「形」を盗み、それを伝承するものとも言えます。それが匠の「技」です。長い歴史の中で培ってきた「技」です。そこには数値で表せない、ある意味、「レベル4」のエビデンスがあり、この技を学ぶこと、極めること、無駄ではありません。
しかし,大事なのはそれが目の前の患者に通用するかという、患者中心の「批判的吟味」と「自己抑制」がなければ、いわゆる「ドグマ」の壷にはまります。
これが今回の「技を持って、技に拘らず(こだわらず)」となります。
前半は少し講釈を垂れさせていただき、後半に「持つべき技」と、それにこだわらない「柔軟な義歯臨床」をお話しできればと思います。少しでも、皆様のお役になれば幸いです。

講師略歴

   
1984 日本大学松戸歯学部卒業・補綴学第1講座研究生
1989 日本大学助手
1993 日本大学松戸歯学部講師
1999-2001 マギル大学歯学部(カナダ・モントリオール)
2005 ニューキャッスル大学医学部修士課程(臨床疫学)修了(医学修士)
2010 日本大学教授(松戸歯学部有床義歯補綴学講座)

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